教育のことを考えて眠れぬ夜のために

授業、学習について考えていくブログです。

「知識・技能」だけじゃないぞ!!

知識を覚えて終わり!という授業からの脱却について、

しっかりと理解をしてもらわないといけない。対生徒にも対保護者にも。

 

僕がよく進路学習のガイダンスや中学入試の学校説明会で使う資料に、

「学力の3要素」についてわかりやすい図がある。

それが↓これ。

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今日の授業では、ウォームアップでじゃんけんをした。笑

「僕に負けて」と言って、じゃんけんをする。一テンポ遅れて出していいのだが、

生徒は結構負けられない。「じゃんけんは勝つもの」だったり、相手と同じように「真

似てしまったり」する。ので、意外とこれだけでも盛り上がる。

ちなみに、何でこんなことをするのか…。

崇拝する神戸の教育哲学の博士を修めた先生の影響。今から議論を求めたり、

何かを思考させていくのに、準備運動なしではきつい。運動と同じだ。

ちなみに、最近は授業中にBGMを流している。

これも、静かすぎる環境では、なかなか意見は出せないもの、という心理に即してい

る。大人でも、シーンとした職員会議で突然意見を出せと言われたら出せないよね。

「学習環境」って大事。

 

ちなみに、じゃんけんをしたついでに、次のスライドを見せる。

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まさに、「学力の3要素」かな。

教科書に載っている太文字を「覚えて」「出す」のが賢い、ではない。

まさに「答えが一つにさだめられないもの」を日頃から考えていくこと、そして周りの

友達と議論を重ねて、新たな視点に到達する価値に日常的に触れていること、が大事

だ、ということを理解してほしい。

 

保護者会で保護者にも伝えた。子どもたち以上に「学力=知識の量」となりがち。

「具体」と「抽象」の行き来

①サクッとアイスブレイク、のあと、

②講義→考える、を行き来する。

 

日常とのつながりを意識した「問い」を設定した。

 

①「トレードオフ」の説明から

 「あなたが最近経験した重要なトレードオフを説明せよ。」

②「機会費用」の説明から

 「金銭的機会費用と非金銭的機会費用を備えた行動の例を挙げよ。」

③「インセンティブ」の説明から

 「あなたの行動を左右しようとして、両親が提示したインセンティブを説明せよ。」

 

ネタ本はこれ。

www.amazon.co.jp

 

「具体」と「抽象」の行き来。
「個別的事象」をその都度覚える社会科の授業って相当辛い。

ザクっと「こういうことでしょ!」と理解できる「概念化」を身に付けてほしい。

「株式学習ゲーム」をしてみた

「チョーク&トーク」からの脱却。

「主体的・対話的で深い学び」を目指して奮闘しています。

 

中3公民の授業。

生徒にとって、株式という遠い世界のものをどうして身近に感じてもらえるか悩んでいたときに、「株式学習ゲーム」なるものを発見。

 

www.ssg.ne.jp

 

登録・準備は簡単で、すぐ始められた。

 

これ、企業名がリアルで、かなりオーセンティックな教材。オーセンティックな教材であるから、生徒のこれまでの知識(「株式」という単語だったり、実存する企業名だったり)を信じて、何の事前学習もせずに、「とりあえずやってみよう」でやってみた。

 

すると、やはり知っている企業名で株の購入をしている。

(でも、オーセンティックさゆえに、かなり興味関心が高い!!)

しばらくしてから、「でさー、そもそも株式って何なのさ?」「株主総会って?」「配当金?」みたいなインプット活動をした。そのあと、またしばらくわちゃわちゃと株の売り買いをさせていると、元手の1000万を高めるグループと減らすグループが出てくる。

 

そこで、「株式の変動要因」についての議論をさせ、発表!

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そこからの関連事項で、「為替の話」「国際情勢」などに話が飛び火できた。

 

何度か出てきた「オーセンティックな教材」であることの重要性。大事だな、と痛感。

そして、生徒たちの生活空間に学びがつながっていること(生徒たちに直接的に株式は入り込んでいないが、見聞きしてきた情報としてつながっている)って、学びを深めようとするエネルギーに必ずつながる。

ジグソーで「金融商品を評価する」をしてみた

「チョーク&トーク」からの脱却。

 

中3公民の授業。

「①預金」「②株式」「③債券」「④投資信託」の金融商品について、

「リスク」と「リターン」をジグソーで調べ、共有。

さらに、500万円を次のA・Bのケースでどう運用するか、のプロジェクトを用意した。

A)3年後に家を買う予定で、ある程度まとまった額のお金が必要だ。

B)当分使う予定がないので、老後(30年後)の生活資金として活用したい。

 

この授業の前に、

「株式学習ゲーム(日本証券業協会/東京証券取引所)」を実施した。

 

dohonshitsu.hatenablog.com

 

全くの予備知識なく(と言っても「株式」というワードや、現存する企業名については知っているので)、とりあえずゲームを実施。ゲームでわちゃわちゃ楽しんでから、「そもそも株式ってさーー」とインプット活動をした。

 

というのをふまえての上記の「金融商品の評価」の実践。

「株式学習ゲーム」がよいscaffoldingになっていたようだ。

 

新学習指導要領になっても、「知識・技術」が不要になったわけではない。

そこを土台として、「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」を身につけなければいけない。

ので、知識のインプット活動をどーしよーか、悩むが、

結構、ジグソーを多投している。

coref.u-tokyo.ac.jp

上記、4つの金融商品について、何者なのか?それぞれの「リスク」と「リターン」はどうか?について調べ、エキスパート活動を通じて深め、違う金融商品を調べた生徒と共有する。そして、最終プロジェクトにアタックする。

 

学んだことをアウトプットする機会としての最終プロジェクトは必要で、その点、よい設定だと思ったが、最終プロジェクトは「オーセンティック」であればあるほどいい。発表などの機会も、「いつもの教員」「いつもの友達」ではなく、例えば「企業へ向けて」「議会に提出」などのリアルさがあった方がいい。それが難しくても、例えば「保護者会で発表」とか「他校の中1に向けて(自分たちより低学年)」とかの発表の場があるといいかも。


ちなみに、「他校の中1に向けて(自分たちより低学年)」という発表の機会を設定する、というアイディアを聞いたときには、目から鱗だった。他校の中1でもわかるよう、意味を噛み砕く必要が生じるため、調べ学習あるあるの「コピペ」を完全に封じることができる。理解も一層深まる。

オーセンティックな教材、学習環境の整備が、生徒の深い学びを助長させる。